メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024の展示品である「キーロンDI」について開発の背景から今後の展望まで営業担当者と開発担当者に話を聞いてきました。
――キーロンDIはどのような背景で開発に至ったのでしょうか。
(営業開発部 角野)
内閣官房国土強靭化基本計画では、治山・治水対策事業の地滑り対策として『集水井(しゅうすいせい)工法』が注目されています。
集水井工法とは、山地や丘陵などの地滑り対策として、最も地下水が集中している付近に、「集水井(しゅうすいせい)」という縦井戸を掘り、地下水を集水および自然排水させる工法です。
集水井工法を調査していく中で、集水井用の排水ボーリング管はSGP黒管を採用していること、経年が原因の孔食や内面内こぶ錆でボーリング工事等の定期的なメンテナンスが必要であることが判明しました。
そこで、国土交通省・農林水産省に内外面を塩化ビニルで被覆している当社の「キーロン内外面ライニング鋼管」を提案したところ、長寿命化商品・省力化と認めて頂けました。
(商品チラシ:地すべり対策集水井排水ボーリング用 キーロンLP-DI)
(施工写真:集水井排水管ボーリング写真)
(営業開発部 角野)
――開発スケジュールはどのようなものでしたか。
(製品開発部 田村)
2024年4月中旬から6月上旬にかけて試作品のテストと商品仕様の調整をしておりました。開発を急ピッチで進め、6月下旬には商品化にこぎ着けることができました。
――開発中にはどのような困難がありましたか。
(製品開発部 田村)
求められた開発期間が2024年4月から6月までとかなりタイトであったため、営業担当者、工場関係者との協議、仕様の確立や調整を急ピッチで進める必要がありました。
またキーロンDIは通常と異なる生産ラインのため、適切な生産体制の構築を迅速に行う必要がありました。
(製品開発部 田村)
――拡販方針はどのようなものですか。
(営業開発部 角野)
国土交通省管轄、農林水産省管轄、都道府県庁土整備部・農政部に長寿命化対策として採用してもらえるようにPRをしています。民間企業においては、土木設計コンサル企業 地元地質工事業者に採用してもらえるように拡販活動を行っていきます。
――キーロンDIパイプの魅力は何ですか。
(営業開発部 角野)
内外面ライニング鋼管であるキーロンDIは、土中の硫黄成分、塩素、有酸素腐食、鉄バクテリアによる腐食が発生しません。SGP黒管で見られる孔食や内外面の錆も塩化ビニルにより発生する事は無く、内面腐食による錆コブが原因の流体詰まりや流体速度損失が発生することもありません。当社の内外面硬質塩化ビニル鋼管は40年以上の実績・信頼があり、排水ボーリング管の長寿命化に活用できます。
(メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024にてキーロンDIを説明)
――今後の展望や意気込みを教えてください。
集水井は全国に11,000基以上あると推定されていますが、50年以上経過し、老朽化による腐食で排水機能が低下しているものが多いと推測しています。
強度ある鋼管と防食性能がある硬質塩化ビニルの特性を活かしたキーロンDIを活用することは、地すべりを長期にわたって防ぐことができるだけでなく、ライフサイクルコストの低減、メンテナンス作業者の人手不足問題といった将来的な問題を解決できると考えています。
インタビューに快く応じて下さった角野さん、田村さん本当にありがとうございました。キーロンDIにご興味を持って下さった方は、是非弊社まで一度お電話下さい。
連絡先:㈱協成 東京本社 営業開発部 角野 TEL:03(5642)2302